エルバ島日記
アンリにとって、そしてアンリ-クイ-ルにとって全ての原点がここ「エルバ島」。アンリが愛するさまざまなものが息づいています。カタログ撮影のロケ地にこのエルバ島が選ばれたのは1998年のアンリークイールのスタート以来2度目のことです。
今回のコラムはエルバ島でのアンリの暮らしぶりをお伝えします。
工房のあるミラノ郊外ヴィジェヴァノの町から車で
片道約450キロ。
イタリア本土からフェリーに揺られてさらに1時間行くと、
エルバ島の玄関の港町「ポルトフェライオ」に到着。
切り立った山肌に情緒ある古い町並みが広がります。
船を降りてさらに1時間車を走らせ、さりげなくひろがる
パパベロ(けしの花)の花畑に目を奪われながら、
道なき道を進むとそのつきあたりの人里離れた場所に
ひっそりと、アンリの家は建っていました。
青々と生い茂る月桂樹やオリーブの木々に囲まれた、
素朴だけれど自然と一体の、アンリらしい素敵なお家
でした。

お部屋にはエルバの海岸で拾って作った
流木や石ころのオブジェや、ヴェネチアのアンティークビーズ、大好きなパリやモロッコで見つけた
プリミティブなアートや革小物のコレクションの数々が所狭しと飾られています。
よく見ると牛の絵や人形がとてもたくさん飾られていることに気が付きました。 気になってアンリにたずねたところ、
「ある友人からプレゼントされて以来、ここに遊びにくる人はみんな僕が牛好きなんだと思ってプレゼントしてくれるんだ。でもどれもこれも可愛いから気に入って飾ってるんだよ」
たくさんの人がこの家を訪ねたことでしょう。
この家には不思議な暖かさと安堵感があります。
ここにある暖炉はきっとこの家を訪れた全ての人にやすらぎを与えていることでしょう。
昼間は汗ばむほどの初夏の陽気、だけど夕暮れになると
肌寒くなるんだと、アンリは裏で薪を割り静かに暖炉に
火をくべます。
火ってこんなにも人の心を落ち着かせてくれるんだと改めて気づかせてくれるのでした。
とにかく家族の写真がいたるところにたくさんたくさん
飾られています。奥さんのフミコ、息子のユマはもちろん、
前の奥さんとの間にいる二人の娘、自分が小さいころ
お母さんに抱かれている姿、
お父さんが駅長さんだったときの姿、兄弟の若かりしころ、お父さんお母さんの結婚式。。。
アンリにとって家族はかけがえのないものであり、
いつもそばに感じていたいものなのです。
ゲストルームに向う廊下に飾られたアンリの肖像画。
大切な友人の描いたそれは、どんな有名な画家の描いた
絵画より価値のあるもの。

滞在中、アンリ自身がお得意のカルボナーラを作ってくれました。
訪れる人誰もが絶賛するこのカルボナーラ。
生クリームを使わずたっぷりのパルメジャーノと卵でつくる。

こんがり炒めたパンチェッタ(塩漬け肉)からでる塩分と
多めのぺペロンチーノだけで味をつけるので
くどくなく、いくらでもおかわりできるのです。
豪快に作るアンリの姿を見ると、やっぱりイタリアンは
男の料理だなと思うのでした。
エルバは憩いの場であると同時に、
アンリが思ったものを形にする場でもある。
この豊かなエルバの自然と家族に囲まれて、
アンリは愛する人たちのためにものを作る。

「僕の作ったものを見て、誰かがほっとしたり、
心が和んだりしてくれたら、こんなにうれしいことはない。
それを見た人がくすっと笑ってくれて、
それを見た人がくすくすっと笑ってくれて、
やわらかい、ハッピーな気持ちになって欲しいと願いながら全身全霊、僕のすべてを注ぎ込んで作るんだ。」
ユマがアンリのその手を見つめる。
自宅近くの海岸を散歩するアンリたち。
散歩しながら拾った流木や石ころもアンリの創作意欲の
原動力となる。 自然が生み出したデザインほどすばらしいものはないから、それをどうやって生かしてつくっていこうかと考える過程がいちばん好きな時間なのだそう。








